去る2017/4/8(土)に3DCG Meetup#11が開催されました。本記事は各セッションの復習をしながら会全体を振り返ってみたいと思います。
- 主催のことば
- 第1セッション MELこんな感じで書いてます 思い付きから書くまでの(心の)独り言
- 第2セッション デザイナーと工数計算
- 第3セッション WebGL 2.0 の概要と注目の新機能を先取り解説!
- 第4セッション Substanceテクスチャワークフロー XXX編
- 懇親会
- まとめ
主催のことば
ぼくの話したことなんでちょっと気恥ずかしいですが、大切なことだと思うので簡単に書いておきます。
ぼくは今年(2017年)からHoudiniを勉強しはじめた初学者なのですが、Houdiniの根底を流れる概念についての考察記事を書きました。2月末の記事なので、歴2ヶ月くらいのペーペーが書いた記事です。
Houdini: コンポーネント・アトリビュート考察 - kick the base
記事を投稿してから、Twitterでお世話になっているガタケ(@low_alt_flight)さんにご指摘いただき、間違っていた箇所を修正することができました。
Houdiniは独特なソフトで有名であり、3DCGの深いところまで手をいれることができる反面、難解な概念をもったソフトです。そのソフトに関してたった2ヶ月勉強したくらいの人が情報発信するのはどうなんだろう。投稿ボタンを押す前に悩んだのは事実です。(実際間違っていたわけですし)
しかし、ぼくは思うのです。「じゃあいつになったら情報発信していいの?」と。
1年やったら?3年やったら?実務に投入してから?
そんなことを考えていたらいつになっても情報発信なんてできません。完璧な知識を得るのを待っている時間など僕らにはないのです。
だから、今アツい!今発信したい!今伝えたい!と思ったらその時が情報発信するときなんだと、そう思います。
今回の記事ではご指摘のおかげで自身の認識もアップデートできましたし、記事を読んで「参考になった」と言ってくださった方もおられます。
間違ったっていい。つど修正すればいいのです。誰かのつまづきはまた誰かのつまづきであり、ぼくは集合知というものを信じています。
登壇者・参加者で共に学んでいくのが当勉強会のスタイルです。3DMUでは伝えたい気持ちがある全ての登壇者を募集しています。
第1セッション MELこんな感じで書いてます 思い付きから書くまでの(心の)独り言
CG自習部屋(@cgjishu)さん(以下Ariさんと表記)によるMELのセッション、Mayaを使う僕としても、大きな学びのあるセッションでした。
登壇いただいたAriさんはCG自習部屋 Mayaの時間というブログを運営されており、そちらで有用なMELを多数公開されています。Mayaユーザーなら説明不要の有名サイトじゃないでしょうか。
また氏は1ヶ月でMayaがめっちゃできるようになるあの有名な本(Autodesk Maya トレーニングブック 3 | イマジカデジタルスケープ バウハウス・エンタテインメント・グループ |本 | 通販 | Amazon)のMEL章を執筆されたとのこと、しっかりとした解説は折り紙付きです!
氏のセッションではアーティストがスクリプトを書くには?という徹底した視点が非常に印象的でした。
自然言語で処理を書いてみたり、変数定義を四角であらわしたり、「変数名はなんでもいいです!ここはaにしちゃいましょう!」とか小ネタを挟んでくださったり。*1
コードアレルギーの人にも分かるように、制御構文はfor文
とif文
しか使わないという姿勢もとても良かったと思います。
また構成の妙として、中盤コードが難しくなってきたかな?といったところで良いタイミングでUV格子化ツールの話になり、コードではなくどのような考え方でそれを実現したのかというテーマに移行したのが非常に良かったと思います。
ツールが完成するまでに辿った失敗などにも触れていただき、ツールを作った当人にしか分からない、非常に有益な情報だったように思います。
シンプルな道具とひらめきで物語を解決する。マクロを使った自動化処理のお手本のようなセッションでした。
第2セッション デザイナーと工数計算
イトウツナシ(いたう)(@t_itau)さんによるプロジェクトマネジメントに関するセッション。こちらも実に盛り上がったセッションになりました。
本セッションはテーマ的に難しい側面があり、運営サイドとしてもチャレンジングな構成でしたが、絶対に現場の人には求められる内容のはずだ!と思っていたためやりきっていただきました。イトウさんのしっかり練られたスライド・セッション内容により、その狙いは的中。質問コーナーも熱量のあるものとなりました。
なぜ本セッションが難しいかもと思ったかを補足として書いておきます。工数計算やプロジェクトマネジメントは物事を効率よく回すための仕組みであり、学生さんには馴染みの少ないものかもしれないなというのがありました。また、ゲーム開発の現場では取り入れているところが多いですが、行ったれやったれで計画を立てずにゴリ押しする現場も少なからずあるでしょう。そしてウォーターフォールとアジャイルでもまたやり方が大きく変わる側面があり、非常に奥深い議論が必要な分野です。
しかし、物事を効率よく回すということは、無駄が少ないということです。無駄が少ないということは最終的なクオリティアップを行う時間や、製作者の休養の時間が生まれるということです。
「スタッフが疲弊することなく、よりよいものを作りたい!」という気持ちは学生でもプロでも、ゲームづくりでも動画づくりでも、チームでも個人でも同じはず。チケット管理などを取り入れていないプロジェクトではぜひ導入を検討されてはいかがでしょうか。
イトウさんは前回の登壇でBlenderとゲーム・アプリ開発のセッションを担当いただき、アーティストとして素晴らしいテクニックとワークフロー解説を頂いたのですが、プロジェクトマネージャの手腕もしっかりと伝わって来ました。
マルチスキルすぎて最高嫉妬しますね!
第3セッション WebGL 2.0 の概要と注目の新機能を先取り解説!
h_doxas(@h_doxas)さんによるWebGLのお話。フロントエンドエンジニアの方はこのセッションを目的に参加された方も多かったのではないでしょうか。
氏の手がけた書籍、明解WebGLはDevtoolsでのデバッグ方法や開発環境についてなど、基礎の基礎から丁寧に書かれていて初心者にもオススメです。僕も読みました!
WebGL2.0の仕様を追いかけていくセッション。3D描画系の概念が一切分からない状態だとちょっと難しかったかもしれませんが、基本的に3Dに興味がある方向けの本勉強会ではよい切り口だったかと思います。
「2.0になるまでそれできんかったんかい!」みたいな機能もあり、逆に言うとまだまだ伸びしろのあるAPIであることが垣間見れました。
「ブラウザ上で動く」という制限は大きいものがありますが、インストール不要の世界は間違いなく今後も目指すべきひとつの可能性かと思います。
個人的にはWebGLを直接意識しないで利用する方向性に可能性を感じているので、ゲームエンジンなどの「WebGLエクスポートができる環境」の動向が気になる所です。
ちなみに氏の登壇中にTwitterトレンドに「WebGL」が登場するという偉業を成し遂げていました。どんだけ影響力あるんだw
セッションの中でも出てきましたが「勉強し始めた頃読みまくったBlogの作者がもんしょさんで、同じ勉強会に立つという感慨についてのお話」は聞いてるこっちもウルウル来そうになりました。
余談ですが、本勉強会にはdoxasさんのWebGLスクールの受講生も参加しており、学びが続いていくのすごくいいなぁと思いました。
学びの連鎖の1ページに、当勉強会が少しでもお役立てに立てれば幸いです。
第4セッション Substanceテクスチャワークフロー XXX編
もんしょ(@monsho1977)さんによるSubstanceのお話!
もんしょさんは技術ブログもんしょの巣穴blogを運営されており、ディープな情報を発信されています。
また共著で参加されているUnreal Engine 4マテリアルデザイン入門は俗にマテリアル本と呼ばれる名著です。オススメです!!!
ここから本セッションのお話。
Substanceテクスチャワークフロー XXX編 上記スライドにもありますが、XXX編は非実践編でした(笑)
しかしそこはさすがのもんしょさん、素晴らしいセッションだったのでその内容を追いかけてみましょう。 本セッションの魅力は何と言っても玉石混交の数々の情報を、もんしょさん視点でピックアップしたところにあるのではないでしょうか。いわばセレクトショップのような、純度の高い情報がまとまっているという意味で実に実践的な内容だったかと思います(非実践編なのに!)
また「職能によってどのSubstance製品を使うとよいか」のお話は中々世に出ない情報なので多くの学びがあったのでは。
短い制作スパンに大量の高クオリティなテクスチャを作成しなければいけない昨今、アセットマネジメントは重要な課題と言えましょう。その中でプロシージャルワークフローは魅力的な可能性を秘めています。
プロジェクトの大小問わず、導入するなら今!なのかも。
スライドにもありましたがVFXアーティスト: Houdiniを使った方がいいというパワーワードも会場を大いに沸かせました。
懇親会
懇親会参加者80名と、大盛況なビアバッシュとなりました。
ぼくは「お、Blenderユーザー?こっちでみんな集まってるよ!」「動画勢ですか?CINEMA 4D/After Effectsユーザーならここに!」「◯◯さんに会いたい?ご紹介します!」てな感じでバタバタしてたのですが、皆さんお楽しみいただけましたでしょうか。
ぼくは次回以降の登壇の打診ができたのが最大の収穫でした。
- あこがれの人に会う
- いつもお世話になってる人にお礼を言う
- 登壇者により深い質問をする
- 友達をつくる
- 出会った人たちと独自の勉強会を企画する
お互いリスペクトをもって、失礼のないよう真摯な姿勢で交流を深めていただければ幸いです。
まとめ
ツイートや懇親会、二次会三次会で感想をいただきましたが、多くの「満足した」というお言葉をいただきました。
運営としても、過去トップクラスの会になったのではないかなと自負しています。会場提供いただいたドリコムさまにもこの場を借りてお礼を申し上げます。
勉強会が終わって一息ついた頃、ぼくは勉強会についてのアツいツイートを連投したりします。
そういう暑苦しいのはちょっと…とか、勉強だけすればいいので…というご意見の方がおられることも重々承知しています。
分かるよ。分かるよカイジくん。
でも、ですね。熱量がないと続けていけないんですよ。ユーザーベース勉強会の運営は。
- お忙しい中登壇資料を作り、発表してくださる登壇者のみなさん。
- あれだけの人数をさばいてくださるスタッフのみなさん。
- 本職と全然関係ないのに運営をやってくれるライオンさん。
- 休日に集まってくださる参加者のみなさん。
どれが欠けても成り立ちません。
せっかく来ていただいたみなさんには、得られる最大のものを得てほしい。
登壇者、運営、参加者みんなが開催日を待ちわびる、無断キャンセルゼロの勉強会にしたい。
そんな思いでやってます。
そして「僕なら私ならこんな勉強会にする」と思った方はぜひ勉強会を主催するといいと思います。それぞれの理念やカラーが生まれると思うし、なにより選択肢が多い世界は素敵なことです。
3DMUの理念ってどんなんだろ。僕や私に合う勉強会かな?と思った方は下記に詳しく書いているのでご一読いただけると幸いです。
3DCG勉強会を主催して -3DCG Meetupとは - kick the base
今はまだ疲れてて今後のことは考えられないけど、第12回もやるよ!お楽しみに!!!
追記
Togetterでまとまってるので当日の雰囲気を知りたい方はぜひ
*1:変数名はa、b、hoge、fooとかにしちゃうと後で分かんなくなっちゃうのでホントはダメです(笑)