kick the base

Houdiniと、CG技術と、日々のこと。

Houdini : 何者でもない僕らのためのHoudiniワークショップ振り返り

こんにちは。めんたいこです。皆さんいかがお過ごしでしょう。

去る2023年3月4日(土)、11日(土)、18日(土)にBornDigital様主催のワークショップにて初心者向けのHoudini講義をさせていただきました。

cgworld.jp

本記事では講義を振り返りながらその反省と今後の抱負などについて語っていきたいと思います。

あ、本記事は純度100%のポエムです。

目次

カリキュラムについて

_人人人人人人人_
> 無茶苦茶多い <
 ̄YYYYYYYYYYYYY

そもそも8時間 x 3日間という驚異的なストロングスタイルに加え、僕の持ち前のサービス精神も冴え渡り、「伝えたい事がてんこ盛り」状態で本当に大変でした。(主に削る方向で調整しましたが、これは外せない…!というものの多いこと多いこと)

ひとつひとつの項目を理解するにはそれなりの情報量とトレーニングが必要で、当然ながらただ手を動かしていただくだけでなく文脈上必要なタイミングで必要かつ質の良い訓練を行う事が重要です。それに加え受講者層の想定も難しい要因のひとつでした。

それらを鑑みて内容に関しては最終日直前に「腕に覚えがある方にも満足感があるといいな」と思ってチャレンジ問題を複数追加したのが少しやりすぎだったかなというのが正直なところです。もう少し余裕を持ったカリキュラムで反復練習をプラスしたほうが良かったかなと思っています。次回があれば調整の必要があるかもしれません。

講師の体力について

わりと限界でしたw

今回のワークショップで目指したもの

募集要項にも明記しておきましたが、本講座では絵筆を揃え、それを手に馴染ませていただくことを最大の目標にしています。

この3日間でHoudiniのプロにはなれませんし、絵になるエフェクトやリッチなアセットも作成しません。しかし、これから続く長いHoudini道の「歩き方」を全力でお伝えします。

※ 募集要項原文ママ

今回お伝えした技術や考え方などは(それなりにボリューミーだったとは言え)ひとつひとつは小粒なものだったかと思います。しかしそれらをちゃんと理解することで、組合せ爆発を起こすことが可能なのです。

業務で僕たちが扱う難問が地図にない街だったとしたらそれを探すためにははじめに地図が必要なのです。だから僕はどんなに地味でも、これが正しい歩み方だと信じてカリキュラムを組んでいます。*1

受講生の皆さんへ贈る言葉

雑談のときにもお話をしましたが、僕自身も憧れのHoudinistはいます。皆さん素晴らしいバックグラウンドと幅広いテクニック、知的なアプローチなど持ち、明らかに「ステージが違う…」と思われるきらびやかな才人が跳梁跋扈する修羅の国がHoudiniランドです(褒めてます)。

ではHoudiniというツールは一部の天才にしか扱えないのでしょうか?

そんなことはない。そんなことはないと、信じたい。と僕は思っています。

僕がHoudiniにはじめて出会ったときはまだWebデザイナ時代だったので、そもそも3Dそのものが全く分からん。だが3Dできる人ってすごくかっこいい。みたいなしょっぱい動機でHoudini ApprenticeをMacBookにインストールしたのが始まりです。*2

そんなわけで右も左も分からない状態で始めた学習、うまくいくはずもありません。書籍を読んでもわかる所は5分の1くらいでした。でも、5分の1はわかったのです。

「わからないところがわかれば」、やることは決まっています。わからないところを繰り返し学習するのみです。

引用 : Houdiniではじめる3Dビジュアルエフェクト/平井 豊和 (著)

上記画像は僕のバイブル、平井先生の書籍です(私物)。手書きのメモを見れば矢印の回数だけ再読したのがわかるかと思います。

僕は独学でHoudiniを学んだので、遠回りしたことも大切な経験だったと思っています。それらが自身の歩みを力強くすることも確かでしょう。

ですが、現実的な問題として時間は有限なリソースですし、ハマると大ダメージを受ける毒の沼地骨折(文字通り心が折れて)して挫折するような失敗は皆さんには回避してほしいとも思っています。

なので、僕が「ここは分かんなくて辛かったなー」というところを丁寧かつ本質的に解説したつもりです。

せっかくアーカイブ動画の視聴期間も十分あるわけですし、本講座を繰り返し学んで理解できたらはやいところ一番楽しい表現の世界に飛び込んでいってください。

受講生の声

アンケートも拝見しましたが、熱量のある好評のご意見をたくさんいただき、講師冥利に尽きるものでした。どれほど講義が大変でも、次の世代に伝わったという実感は代えがたい報酬です。

Twitterで頂いた皆さんのツイートをこちらにご紹介させていただければと思います。

今後の展望について

今回時間的に説明できなかったけれど、学ぶべきことは多くあります。

  • パラメトリックUV空間
  • 三角関数
  • クォータニオン
  • ポイントクラウド
  • HDA
  • PDG
  • などなど…

これらに焦点を当てたカリキュラムを作ってもいいなあとは思うのですが、講義中も何度も言いましたが学びというのは積み重ねなので、ここから参加される方がその下地となる知識をお持ちかどうかという問題が悩ましいと思っています。

今回の講義と同様のものをブラッシュアップして再演するのも業界にとっては良いことなのではないかなとも思っています。また、ターゲット層は大きく違いますが、中級以上の講座を望んでいる方もおられるでしょう。

次回に関しての予定などは白紙な状態ですが、本講座が役に立ったと思われた方は発信していただくと色々なことが実現していくかも知れません。

(超初心者向けのHoudiniの書籍も執筆してみたいですね)

まとめ

講義のアーカイブ動画ですが、ぼくも全て視聴しています。なんならこのブログを書いてる今も2周目を聞いてます(復習大切)。

100点満点とは言わずとも、受講生の皆さんには地図をお渡しできたのではないかと思います。これから確かな歩みでHoudiniの世界をともに前に進んでいきましょう。

ではでは。

*1:当然他の先生は違ったアプローチや哲学をお持ちだと思うので、それはそれで素晴らしいものだと思います。みんな違ってみんないい、ということですね。

*2:正確に言うとその前にZBrushに出会っていたのですがあれはあれで3Dの極北なので