今回は映画「殺人の告白」について。
邦画、22年目の告白 -私が殺人犯です-のリメイク元となった韓国映画ですね。ぼくは22年目の告白のメガホンを取った入江監督のテイストがあまり好きではないので、原作を観てみました。
結論から言うと「面白いんだけど、もったいない作品」という感じです。プロットは良い。そして伏線回収の手段も鮮やかで、映画的ビジュアルを持ってしっかりと「なるほど」と思わせてくれる。そんな作品です。
ただ、ノイズが多い。多すぎる。
その表現いるかなぁ。半分くらいの時間にしたほうがしまるんじゃない?という箇所が非常に多い作品でした。
評価: ★★★☆☆
以下、ネタバレ無しで行きます。
映画的幸福感
本作品はいわゆるどんでん返しモノなわけですが、その伏線回収をちゃんとビジュアルとして表現しきった上で裏切ってくれます。
あのシーンがここにつながるのか!
どんでん返しモノはこうでなくてはいけません。
スタイリッシュな映像美と見せかけて実は違う意味を持たせている。これはテキストベースのメディアでは得られない快感でしょう。
もうこれだけで合格です。うん。楽しい。
良質な役者陣
みんな演技上手いですね。ホントに韓国映画(特にノワール)は上手いと唸らざるを得ません。 ちなみにドゥソク役のパク・シフが絞り込んだいい体を披露していますが、これはただのファンサービスではなく物語上の意味がちゃんとあるってのもニクイですね。
また本作ではあまり活躍していませんが、トガニで校長兄弟を演じていたチャン・グァンが登場。DEATH NOTEでいう出目川みたいな立ち位置です。
この人温厚そうな顔してるのに画面にいるだけで不穏な空気が流れてすごくいいです。*1
あと名前は知らないのですが討論会に出てくる教授の演技、実に上手いです。はなから他人を馬鹿にしてマウント取ってくるタイプの知識人、いるわーって感じします。
ノイズ!ノイズ!ノイズ!
ここから不満点です。
多くの人が指摘していると思うんですが、アクションシーンやカーチェイス、この映画に要ります?
特に鼻につくのがカーチェイスのシーンで、コンポジットまわりがうまくないのも相まってかなりしらけます。
あと、時系列をワザと前後(というか混在させる)演出があって、特にイントロのシーンがひどい。
冒頭「さーてこの物語はどんな世界観なのかな」と観客が思ってるところに、「あれ?この人首のキズ今なくなった?」とか「口のキズもどっかいったぞ??」とかなるわけです。
主人公のチェ刑事は短気で暴力的ですが、決して意識が混濁しているわけではない。この演出は単純に観客を混乱させるだけで悪手だと感じました。
上述のコンポについてもそうですが、CG、VFXもどうなんでしょう。真面目にやってるんだとしたら失敗してギャグになってるし、ギャグでやってるなら不要でしょう。
全編を通して「こういうの入れとけばエンタメなんでしょ?」という雑さを感じてしまいます。
最後にこれだけは言っておきたい。
ヘビ推し過ぎだろ!
既視感すごい
これはアジアの映画だからしょうがないところもありますし、誰にも責任はないんですけど、日本の有名芸人や俳優になんとなく似てるなーって思ってしまって集中力を削がれました。*2
列挙すれば
- たんぽぽの川村エミコかよ!
- やしろ優かよ!
- 松山ケンイチかよ!
- 永野かよ!
ってなところなんですが、特に気になったのがお笑い芸人の永野ですね。
いや、髪型だけだろ!って感じなんですが、物語のキーマンが永野に見え始めちゃうともうそれにしか見えなくて…
もちろん、役者さんも永野にも落ち度はないことはこの場で明言しておきます
まとめ
話自体が面白いので、その他の欠点も笑って許せる感じだと思います。楽しい映画だったのでぜひ。
ちなみに主役を演じたチョン・ジェヨンですが、邦画のリメイクでは伊藤英明が演じている模様。キャスティングとしては新井浩文の方がバチッと決まるんじゃないかなぁと思ったりします。まだ観てませんが。
どんな感じでリメイクをしているのか興味があるので、邦画版も観てみようと思います。
おすすめです!