kick the base

Houdiniと、CG技術と、日々のこと。

この1年をHoudiniと共に振り返る

この記事はHoudini Advent Calendar 2017 17日目の記事です。

ぼくがHoudiniを触り始めてから丁度1年が過ぎようとしています。振り返れば書籍やネット上の動画、諸先輩方のブログやフォーラムなど、様々な媒体を通して学んできました。

当初の予定ではもう少し成長できていたはずなんですが、Houdini学習曲線の壁に阻まれ、まだまだ初心者街道をひた走っています。

本記事では時系列を追いながらHoudini関連の学習を振り返り、最後にこれからHoudiniを学ぼうと思っている方にオススメの学習順序などをご紹介できたらと考えています。

振り返り

1月

公式ビデオチュートリアル

非商用ライセンスのHoudini Apprenticeを入れて初めにやったことはSideFX公式のチュートリアルでした。

"Tutorials | SideFX" - http://j.mp/2iS7icD

レベルを選べるので、はじめはQuickstart、Beginnerあたりからやるとよいかと思います。音声は英語ですが、日本語字幕がついているので安心!オススメです!

※ 本記事を書くにあたって久しぶりに見てみたらすごい追加されてました!充実っぷりがすごい…

Houdiniではじめる3Dビジュアルエフェクト

以前書評も書かせていただきましたが、2017年12月現在でも十分参考になる名著、「Houdiniではじめる3Dビジュアルエフェクト」を読み始めました。*1

本記事では1月と章立てしていますが、本書は延べ半年くらい読み返したと思うのでかなり付き合いの長い書籍ということになります。

詳しくは下記書評にまとめていますが、構成・内容ともに素晴らしい書籍で、エフェクトアーティスト以外(モデラーなど)にも本当にオススメです。

2月

Houdini オンラインワークショップ

杉村氏のオンラインワークショップを受講。これが本当に素晴らしい内容で、多くの学びを得ることができました。

  • 日本語での解説
  • アプリケーションの動作を実際に見れる
  • ときには身振り手振りを使っての分かりやすい解説

作例もカッコよかったためテンションも上がり、実に濃密な1ヶ月でした。本ワークショップにはブレイクスルーのヒントがこれでもかというほど詰まっていたように思います。ほんとに受講してよかった!

しかし運が良かったと思うのが、本ワークショップの前に公式ビデオチュートリアルとVFX本をインプットしておいたことです。UIやオペレーションレベルでは迷うことが少なくなっていた状態だったので、内容に集中することができました。

3月

制限付き商用ライセンスであるHoudini Indieを購入。運悪くインストールとWindowsのシステム損傷のタイミングがかぶり、はやくも心折れそうな日々を送りました。Windowsを初期化することで事なきを得ましたが、肝を冷やしました。

萌えるCGシリーズ(同人誌)

閑話休題。3月はCircleQtさんの萌えるCGシリーズの同人誌を購入しました。現在では売り切れも見受けられる人気のシリーズですが、特に「萌えるCGテクニカル読本」のHoudini ABC(YUJI氏著)が素晴らしい内容で、Houdiniの概念がコンパクトにまとまっていました。Houdiniの日本語学習リソースとしては一番最初にこれが一番いいかもと思える内容でした。

BOOTHでは売り切れの模様なので、もし再販があるのであれば是非購入をオススメしたいと思います。

Houdini 16 導入セミナー

ノードのシェイプが全然違う!で度肝を抜かれたHoudini16*2を導入するにあたり、本セミナーを受講しました。アップデートされた箇所を丁寧に説明いただき非常に分かりやすかったです。

インディーゾーンさんご提供のセミナールームにはPCもアプリも完備されており、操作しながら受講できた点も良かったです。

4月

関東ゲーム制作部のHoudini ハンズオンセミナー

5時間のボリュームの本セミナー、講師の@ijiVFX氏の熱量には頭が下がる思いでした。

個人的にはCOPを使った作例が大変参考になりました。(COPの情報はあんまり見ないんですよね)

Houdini Geometry Nodes(SOP)セミナー

@yone80氏によるSOPセミナー。プロシージャルモデリングで役に立つSOPを数多くご紹介いただき、目からウロコのテクニックが満載でした。

特にRest PositionSOP!シェルフからRBD Objectsを実行するとジオメトリ内部に生成されるこの子、何に使うかさっぱりわからなかったのですが、ようやっと理解できました!感謝。

5月

Houdini実践ハンドブックWrangle×Python

書籍、Houdini実践ハンドブックWrangle×Pythonを購入。勢い余って電子書籍版と紙媒体両方買っちゃいましたw

読み物としても、リファレンスとしても有用な本書。手元に置いておくと困ったときに役に立ってくれます。

6月

Houdini もくもく会 #1

Houdiniもくもく会を主催しました。参加も主催もはじめてのもくもく会でしたが、皆さんお楽しみいただけたでしょうか。ぼくは楽しかったです。(自画自賛)

来年も開催しようと思っているのですが、前回の反省を踏まえつつ、お題となる形状を先に提示しておいて、それぞれのやり方でモデリングしてみるとか面白いかなと思っています。

8月

第12回 3DCG Meetup 本当に無駄な仕事をしたくない人のためのHoudiniプロシージャル入門

僕の主催しているCG系の勉強会、第12回3DCG MeetupにてHoudiniの登壇をいただきました。スピーカーはHoudini実践ハンドブック著者の@jyouryuusui氏!(本アドベントカレンダーの企画も氏ですね)

笑いあり学びありで非常に好評を頂いたセッション、スライドも合わせてご紹介しておきます。

9月

理論と実践で学ぶHoudini -SOP&VEX編-

例の分厚い本です。ベルセルクのモズグス様気分が味わえますね。

3Dで使用する数学の基本やVEXの言語仕様からの解説など、じつに密度感のある内容となっています。個人的にすごくオススメなのですが、Houdiniのオペレーションにまだ慣れていない方、3DCGの仕組そのものの造詣がまだ深くない方は他の学習リソースを一通り通ってからこの本を読まれると良いのかなと思います。

ちなみに3DCGの書籍として初めて読むには少々難易度が高いかと思います。本の構成上、座学で理論を学んだ上で、手を動かしてそれらを利用していく形になっているのですが、座学の部分のボリュームが膨大です。今後絶対に役に立つ知識であるのは間違いないのですが、「完全に理解しながら読み進めるぞ!」と意気込まず、「分かんなかったらあとで見返せばいいや」くらいの気持ちで読み進め、読み終わったら再読する。そんな付き合い方が良いのかもしれません。

10月

CGWORLDのバックナンバーを大量に購入。まだ全然読めていないのですが徐々に消化できればと思っています。

もちろんお目当てはHoudini Cook Bookです。

11月

11月はセミナーラッシュでした。忙しかった〜。

CGWORLD2017 クリエイティブ カンファレンス

ほぼ全セッションHoudiniのお話を聞いてきました。簡単にセッションの感想を。

Cornelius「あなたがいるなら」MVメイキングセミナー

VOPの中を解説いただいたとき、「読める…読めるぞ…」となった感覚が最高の収穫でした。自分では成長が実感できてなかった1年でしたが、無駄ではなさそうだなと。

ブレードランナー2049: テクノロジーを通じて世界観を構築する

受講してから知ったのですがC4Dのセッションでした!シーンの作り自体はシンプルそのものでしたが、実際に作り出される絵のリッチなことと言ったら!Tipsというより考え方やアプローチの参考になりました。

Music VideoにおけるHoudiniを使用した群衆とリグの話

個人的には16.5で搭載されたラグドール周りのお話が興味深かったです。

Houdini色々

VFX本の著者である平井氏のセッション、全編通して知らないことが満載で大変勉強になりました。特にCVEXのお話が衝撃的でした。

ガチのHoudinistはヤバさがヤバイ(語彙力)という感じでした。

Fluid Control for Houdini

マイクロソルバを使用した流体のセミナー、正直ぼくにはまだ早すぎた感がありました(苦笑)。もっと理解が進んだ段階で復習したいと思います。

Volume Simulation Pro Studyセミナー

ものすごい勉強になりました!!!!!

そもそもボリュームってなんだろう。最適なデータ構造は?といった様々な切り口に対し、わかり易すぎる解説で疑問点がみるみる解けていきました。感動。氏のセミナーがあったらまた参加したいです。

Houdini 脱☆初心者-Mantraレンダリングワークフロー

IFDまわりの最適化フローについて踏み込んだ内容で、ためになる内容でした。CGWCCでの平井氏のセッションを受講したあとだったので余計に良かったのかもしれません。

ただIFDを使えるのはFXかCore(Indieは非対応)なのでFX買っちゃおうかな熱がヤバイ感じに。

これからHoudiniを学ぼうとする方々へ

本日現在手に入れることができる情報源を元に、こんな順番で学んだらいいんじゃないかなというご提案です。

順番 内容 備考
1 SideFX公式ビデオチュートリアル なにはともあれ公式から!
2 萌えるCGテクニカル読本 Houdini ABC どこかに在庫があれば迷わずGET!
3 Houdiniではじめる3Dビジュアルエフェクト バージョン15の書籍ですが、学ぶべきところは数多くあります
4 理論と実践で学ぶHoudini -SOP&VEX編- プロシージャルな思考に慣れ、より効率的にジオメトリを制御したくなってきた頃に
5 Houdini実践ハンドブックWrangle×Python ノード構築自体を自動化したいあなたへ(プログラマ向け)

日本語のソースから選んでみました。字幕なしのビデオチュートリアルは有償・無償問わず数多く出ています。なにこれカッコいいっていう作例のものをチャレンジしていけばいいんじゃないでしょうか。

ちなみに3DCGソフト一発目にHoudiniを選択するのは個人的にはオススメしません。

まとめ

我ながら地方在住にしてはよく都内のセミナーに通ったなぁという気持ちでいっぱいです。他にも行きたいセミナーや講習があったのですが、スケジュールが合わなくて断念したものも。

物理的な移動無しで効率的に情報収集することや、オンラインでの小規模コミュニティなど作ることが来年の目標になりそうです。

最後に一句。

Houdini 難しいけど 楽しいよ

次はrenkikuさんです!

*1:以降VFX本と略します

*2:個人的にはPointSOPやGroupまわりなど、多用するノードに変更が入ったのも大きかった気がします