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Houdiniと、CG技術と、日々のこと。

20,000RTを生んだ情報設計 -後編

前回に引き続きTwitterのReTweetについてのお話を。今回は20,000RT行ったツイートに絞り、ツイートの意図は。20,000超えのRTが来るとどうなるか。そしてそれにどのように対応したか。についてお話します。

簡単に本ツイートの意図をまとめると

  1. 画像加工ソフトを使用しなくてもツイートの改変は簡単なのでスクリーンショットは信用しないほうが良い
  2. 拡散させたい場合はRTもしくは引用RTをすれば良い
  3. 言質をとりたい場合はウェブ魚拓を利用すれば良い

実にシンプルな話なのですが、様々な要因が折り重なってその対応に土日がほぼ潰れました。

大変でしたが中々興味深い経験になりましたし、学びも多かったためここに備忘録としてまとめておきます。

前提

まず前提として本記事は今回のツイートに関して関わった「個人」に対して意見を言うものではありません。

このようなことがあり、そこから一般解を導き今後の糧としたいという目的のものです。

まず件のツイートがあった

すべての始まりはこのツイートでした。

最初は「スクリーンショットの証拠能力はゼロに等しいから信用しないほうが良いよ」ということだけ伝わればいいかなと思っていたので、連投も補足もしなかったのですが、引用RTとメンションで「どうすれば!?」という意見が相次ぎ対応をすることに。

皆が求めているものは何か

ツイートした動画はほんの十数秒でテキストを書き換える内容なので、センセーショナルなものではあったと思います。(もちろんそれを狙ったのですが)

しかしぼく個人は普通に公式のRTか引用RT、もしくは魚拓使えばいいんじゃないかなぁと思っていたので、なにがそこまで畏怖されるのかがわかりませんでした。

そこで調査です。ボトルネックを把握せねば対策は講じられません。

リサーチにはこちらを利用させていただきました。

リツイート直後のツイートを表示するやつ

上記サービスは公式RTしたあとのつぶやきを表示してくれるものです。RTしたあとに「僕・私はこんなふうに思うけど」と付言すること、ありますよね?そんな意見を発見するために使用できるサービスです。

RTされた数が数なのですべてを把握するのは大変でしたが、せっかく注意喚起を目的としたツイートだったのでそこは最後まできちんとやろうと思い、全部読みました。

また、どういったクラスタにRT分布があるか確認するために、下記解析ツールも併用しました。これでザックリとしてですが、RTの経路を視覚化することができます。

ユーザーローカル - 無料RT(リツイート)分析ツール

これらを踏まえて見えてきたものは下記項目です。

  • どうも開発者ツールでサーバ上の情報を書き換えられると思っている方がいるらしい
  • 開発者ツールが何なのかが伝わっていないらしい
  • 開発者ツールでHTML要素を書き換えられるということとスクリーンショットとの関連性が伝わっていないらしい
  • 「開発者ツールを使う」ということが非常に大げさな、一般人は誰も使わないようなギークなツールであると思われているらしい
  • Twitterの脆弱性だと思っている方がいるらしい
  • 信憑性とは別に、どうしてもスクリーンショットを使用するシーンがあるらしい
  • いたずらにこわがっている方がいるらしい

これらひとつひとつに対策を行っていくことにしました。特にいたずらにこわがっている方がいるのは本意では無いので特に丁寧に。

対策

ここで開発者ツールができることとできないこと、またスクリーンショットとの関連について大まかに解説を行いました。

上から順に

  1. 1,200RT
  2. 620RT
  3. 1,300RT
  4. 400RT
  5. 300RT

と、ある程度の拡散といいねが見られたので一定の補足説明にはなったかと思います。

個別対応

メンションで質問を頂いた方には出来る限り詳細に回答しました。質問やご意見に関して対応をするかどうか、というのは個人の判断によると思いますが、今回のツイートが注意喚起を目的としたものだということ、各人のインターネットリテラシーによって疑問点が異なることなどから基本的に個別対応を行うこととしました。

お話をした方は概ねご理解いただけたようで、良かったと思います。

対応できなかったもの

感嘆詞 or 絶叫系

なんと答えたらいいのか分からなかったのでお答えできなかったものもありました。

知ってる系

知らない人に向けてのツイートでしたので、ご存じの方(特にWeb制作に関わっている方など)には当然の知識かと思います。

これだけのRTがあったことからも、少なくともターゲット層は存在しており、そこに届いたことは確かかと思います。

巻き込みリプ系

前後の話の流れが分からないので返信は差し控えました。

どうしてもスクリーンショットを使いたい場面

上述のようにスクリーンショットはただの画像であり、開発者ツールを使っても使わなくても依然として改変は簡単で、証拠能力はゼロに等しいということを述べてきました。

しかし、下記ケースではスクリーンショットが有用であるという知見を教えていただきました。

  • 相手に知られることなく(通知されることなく)付言したい
  • ブロックをされている人への付言したい

なるほど。確かに上記ではスクリーンショットを使う意味がありますね。

Twitterと議論

ぼくは常々言っていることなのですが、そもそもTwitterは議論や討論には不向きなSNSです。 140文字制限もありますし、情報の公開範囲指定もコントロールが難しく、一連の発言意図とは別に部分的に抜き出して拡散されることもしばしばです。

「改変の方法は危険だから見せないほうがよい」とのご意見もいただきましたが、ぼくはスクリーンショットの証拠能力の低さに皆が気づくことで、捏造の被害そのものを無効化することができると思っています。

誰が何を画像加工しても「画像なんていくらでも加工できるんだから」と皆が言える世界になればよい。正しい知識と心構えさえあれば画像など恐るに足りないのです。

まとめ

SNSには様々なユーザーがいます。個人の趣味趣向やツールの使い方まで、多岐におよぶでしょう。

相手に自分と同じ使い方をしろということも、同じ考え方にしろというのも暴論です。

SNSは社会そのもの。そこには様々な人がいる。それがすべての前提条件です。

Twitterのサービス規約に則った上で、少しでも自分の周りの世界が楽しくなるよう皆が努力していけばいいのかなと思っています。